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「増補版 僕はしゃべるためにここ(被災地)へ来た」著者:笠井 信輔

日本人なら必読の書と言っても過言では無い。
増補版の文庫版では、第7章、文庫版あとがきがあるので、こちらがおススメ。


フジテレビアナウンサーの笠井さんの東北地震での取材エピソード本。
取材をする上で、阪神地震、地下鉄サリン事件、竜巻、火事などの取材からの反省も踏まえて被災地に挑んだエピソードも。
現地で見た、聞いた、感じた人にしか書けないだろう文、臨場感あふれ、自分もそこに居るかの様に感じる。


レポーターなんて、野次馬で、のぞき見で、ゲスの連中だと思っていた。
また「取材なんかしているより、目の前の人達を助けろ!」なんて声もあるだろう。
しかし、取材を受ければ、
・必要な援助物資が届くかも?
・離れ離れの家族に対して、自分の存在がアピールできる。
・遠くの親戚が安堵する。
・募金の呼びかけにもなる。
などなど利点が多い。
現地での笠井さんも色々な葛藤を抱えながら、取材をする。


私は上記の事がわかり、今では「可能な限り複数の箇所へ取材に行ってほしい」という思いに変わっている。
だが、今回の東北でも、(阪神地震であった)支援要請が送信できた所に物資が届き、送信できなかった所に物資が届かない、という避難所格差は無くならなかった。


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・被災地ではヘルメット着用が本社からの命令だった。被災者はヘルメットを着けていないのに取材班だけヘルメット着用。もちろん、笠井さんも違和感を感じている。他の取材班がノーヘルメットで取材したが、その映像は使われなかった。
・食べ物の窃盗は起こっていた。しかし、「2日間何も食べてないんです」という人達に「窃盗はやめろ」なんて言えるか?
・取材車に水がある。また、車があるから使いたい。しかし、渡したり、車を使ったりすれば、他の局の迷惑になる。
 「フジテレビは援助してくれたのに、あんたの局は何にもやらないんだね」と。
・「人を見捨てて、自分だけ助かったんです」という被災者の言葉に、何と答えればいいのか?
・自衛隊の援助ヘリコプターも津波で使い物にならなかった。
 「この援助ヘリが動けば、助けられた命もあるのに・・・すみません」と涙ぐむ自衛隊員。


自分だったら、どうする?と様々な場面が突き付けられる。


自分が被災者だったら、ちゃんと葛藤を抱えている笠井さんになら取材されても良いと思う。


でででだ、やっぱり対岸の火事だと思っている自分が居るという事があぶりだされる。
読んだ後は、心が沈みます。


・・・この本は笠井さんの懺悔告白本でもあるのかもしれない。

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